Suinam010620 000535M 推名 真弓
余暇政策論
エコツーリズムについて
<開発事業とリゾート>
リゾートについては時代の要請により近年リゾート法が制定され、各地でリゾートブームが起こった。バブル経済の崩壊により、そのブームも下火にはなったものの、余暇の増大や、高齢化の時代を迎え、実需要に基づいたニーズは根強いものがある。
このように単体のホテルから複合リゾート(スキー場、ゴルフ場、等を含む大規模開発)までの幅広い施設整備が要求され、機能の複合化を求められてきた。この複合化に対応するためには周到なマーケットリサーチに基づくコンセプトの確定が事業の成功にとって不可欠なものになる。
特定の地域を事業展開の基礎とするリゾート事業においては、地域住民、コミュニティ、公共団体との協調、及び、自然環境との共存が不可欠の要素であることは、周知の通りである。したがって、顧客の満足、事業主体の満足に加え、地域のファンの増加、地域振興への貢献、自然環境への負荷の低減といった、地域の満足をも高める必要がある。これが、安定雇用の確保、施設の相乗効果の向上等を通じて、事業主体の経営上のプラスになるという、顧客、地域、事業主体、三者間の良循環の創出が目的となる。
観光計画研究所http://www.gol.com/irp/jpirp.htm
〇観光事業の内容は、地方、地域によって様々であるが、スキー場、ゴルフ場等を含む大規模なリゾート開発は、自然環境を意識し、環境と観光の調和、自然と人間の兼ね合いを考えていく必要がある。
80年代半ばに国連などが提唱し始めたエコツーリズムは、地域の資源や文化を守ることが長期的な観光の発展につながるという考え方である。旅行者は専門ガイドの案内で自然への理解を深め、同時に地域経済には波及効果がもたらされる。環境問題への関心の高まりなどを背景に観光業界期待の市場に成長した。しかし、こういった考えに批判的な意見もある。
米の検索サイト「アバウト」でエコツーリズムについてガイド役を務めるカナダの博物学ライター、エレン・スコットさんは「私たちはエコツーリズムにおける倫理を見いださなくてはいけない」という。紹介するホームページでは、
・ 観光客が多く通るため動物の通り道が分断された。
・ブームとなって観光客がいっぺんに増え、それによってもたらされる汚水が生態系に影響を与えるようになった。
・外部から来た人が観光関連の仕事を奪っている。
などの問題点が挙がっている。
また、立教大学観光学部の稲垣勉教授(49)は、旅行者を文明の側、現地を野生・自然の側に置き、その関係を固定化する傾向に、エコツーリズムの危険性を見る。同教授は、学生たちとともに訪ねたエコツーリズムの現場についての研究報告をホームページで公開しているが、エコツーリストたちが現地の近代化に反対する例をいくつも見てきた。
「重油を使った簡易発電の不自由な時間給電しかない地域に、水力発電のための小さなダムを作る計画が持ち上がると、水系が破壊されるからと反対する。普段の生活では浴びるようにエネルギーを消費しながら、旅行先の人々に『不自由こそが価値だ』と押しつける権利は、だれにもない」
同教授は、エコツーリズムを続けるためには「主役は地元民であるという意識を持つこと」が必要だと訴える。地元の人たちが求めているものと、エコツーリズムに行く人たちが求めるものがうまく調整され、開発もそれを前提に行われなければならないというわけである。
〇今後の問題点として懸念されていることは、「エコツアー」というブームが一過性に終わってしまわないかという点、専門ガイドが観念的なエコロジー志向の傾向を持ちすぎるという点である。「自然を過度に美化して語っては、エコツーリズムが広く一般性をもつことは難しい。」ということである。
http://osaka.yomiuri.co.jp/int/in00710.htm